やる気を高めるノルアドレナリン、快感をもたらすドーパミン、精神を安定させるセロトニン、男らしさをつくるテストステロン、「可愛い」「守りたい」という気持ちを引き出すオキシトシン……。私たちの心や行動は、こうした「ホルモン」に支配されています。『奇跡のホルモン・スイッチ』は、そのホルモンを自在に操る方法が書かれた一冊。仕事から恋愛まで、読めば人生がバージョンアップする本書の一部をご紹介します。
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こんな部下に困っていませんか?
部下のモチベーションを高めるのも、上司の役割の1つです。けれども、なかなか仕事に対して積極性を見せない人もいます。
たとえば、次のようなタイプです。
・指示されたことしかしない
・電話が鳴ってもとらない
・ストレス耐性が弱い
・「いや、俺はいいっすから」など敬語が使えていない
しかし、これは決して本人が悪いわけではありません。成長過程において、あるホルモンが適切に分泌されなかったことが大きく関係しているのです。
それは、テストステロンです。
テストステロンは男性ホルモンの一種で、男らしい筋肉や骨格を作ったり、ひげや体毛を濃くしたりする働きがあります。また、テストステロンが多い人ほど、競争意識が強い傾向にあります。つまり、ガンガンいくタイプです。女性は男性に比べてテストステロンの分泌が少ないため、生物的な性格は平和主義で、競い合うことをよしとしない傾向があります。
テストステロンは、胎児期や思春期に最も多く分泌されます。ところが、その大事な時期に「人と比べることをやめよう」と言って、成績の順位を貼り出すことをやめたり、運動会で順位をつけないなど、適度な競争の場を経験しないと、大人になってもテストステロンが分泌されにくくなってしまうのです。
そのような環境で育った人は、社会に出たときに、ナンバーワンよりもオンリーワンの志向が強くなるため、たとえば大切なコンペがあっても「誰にも勝とうと思ってませんから。俺は俺なんで」とか、「勝つために頑張るのって違うと思います」というような考え方になりやすくなります。
また社会に出て初めて、営業成績を毎日貼り出されるなどの「競争」を体験すると、テストステロンをうまく分泌させることができず、心を病んでしまう人もいます。
この「頼み方」でスイッチが入る!
では、どうすればいいか。
すでにテストステロンが不足している部下を前に、あなたができることは何なのでしょうか。
それは、テストステロンのスイッチを押してあげることに他なりません。
たとえば、急ぎの仕事を頼みたいとき。
【NG例】
あなた「悪いんだけど、この報告書、15時までに仕上げてくれる?」
部下「すみません、他にもやることがあるので無理です」
【OK例】
あなた「君に任せたい仕事があるんだけど、う~ん、どうしようかな。いや、これね、報告書なんだけど、非常に重要な案件なんだよ。しかも15時までに仕上げなくてはいけないから、スピードも求められる難しい仕事なんだ。無理ならB君に頼むけど、どうかなぁ、できそうかなぁ?」
部下「大丈夫です。できます」
テストステロンは、言い換えるなら「負けるなホルモン」です。だから、最初からお願いすることが決定事項なのではなく「できそう?」とあえて本人に判断を任せることで、「できないもんか」という負けん気を発動させるのです。また、高度なテクニックですが、誰かを引き合いに出して競争心をあおりつつ、「先に君にこのお願いを持ってきたんだ」というように自尊心をくすぐると分泌されやすくなります。
奇跡のホルモン・スイッチ
やる気を高めるノルアドレナリン、快感をもたらすドーパミン、精神を安定させるセロトニン、愛情を引き出すオキシトシン等々、ホルモンがうまく働けば、人間にもともと備わっている能力が引き出され、仕事の成果も上がる!ホルモンを自在に操る「魔法のスイッチ」であるツボ押し・運動法から、生活習慣・言葉づかいまで。ホルモンをまるごと味方につける一冊。